むかし、上狩野の旧家の主に菊三郎という人がいました。悪さはしないが、怠け者の役立たず。のらりくらりと自然を愛でる暮らしをした挙げ句、日々を借金取りの催促に追われるというありさまでした。そこで、菊三郎は、山を売るにあたって、山へと出かけて