その妄想を現実に引きずり出してやろう……「夢の外へ」の歌詞にもあるが、前作『エピソード』以降の星野源の表現はもっとシンプルに音楽の楽しさや面白さを追求したものへ変化していった。もちろん、変えられない重い現実をちゃんと携えながら。だからこそ年齢もジャンルも異なるさまざまなリスナーから待望されたニュー・アルバムである。タイトルは『Stranger』。急病で倒れ、入院中にアルバムを再び通して聴いた上で付けられたという。パブリック・イメージや音楽的向上心に悩み、格闘してきた2012年という時間の濃密さ、星野源という人の独特な存在感の理由に迫ってみた。