高度な技術、表現力、美しさが必要なことから、演じられる人間が極めて少ない演目『阿古屋(あこや)』。日本を代表する女方、坂東玉三郎が阿古屋を演じて多くの観客を魅了した公演が、シネマ歌舞伎作品として2017年1月7日(土)から公開される。 『阿古屋』は通称「琴責め」とも言われ、琴・三味線・胡弓の三曲を阿古屋みずから演奏するという趣向が眼目の作品だ。3つの楽器の弾き分けをはじめ、傾城の気品や色気、景清を想う心理描写も表現しなければならず、女方屈指の大役と言われている。現在この役を演じることができるのは、坂東玉三郎ただ一人といっても過言ではない。 また、阿古屋を裁く知性と情を備...