建築家夫妻のリノベーション1つの家に2つのニュアンス、 余白が作る豊かな広がり
耐力壁を長所にした逆転の発想 建築家夫妻が世田谷区代沢の約築50年のヴィンテージマンションをリノベーション。竹中工務店設計部の鎌谷 潤さんと、『オンデザイン』の萬玉直子さん、4歳の瑞(すい)くんの3人で暮らす住まいだ。 「物件を購入してからわかったのですが、一室を2:1に分断するように耐力壁が入っていました。しかも耐力壁の開口部はドア1枚分程度という厳しい条件(笑)。耐力壁なので勝手に穴を開けるわけにもいかず、リビング、キッチン、寝室、水回りなどの住まいに必要な場所を、2:1のどちらかに振り分けざるを得ませんでした」 様々なプランを検討するうち、生活に必要なスペースは2/3の部分に収め、残りの1/3は使い途をあえて決めてしまわずに、その時々で自由に形を変えてゆける余力を残した場所とすることに決めた。その決断が、鎌谷邸を魅力ある住まいにしている。 「我が家では、生活インフラエリアを『A面』、余地のあるエリアを『B面』と呼んでいます。『B面』は、時と場合によっていろいろな使い方をしています。今はふたりの仕事スペース、息子の遊び場、友人が来たときにゆっくり